REVEAL -自己表現する蛇-

序章:蛇と空白のカンバス
はじまりは、暗く湿った土の中だった。
一匹の蛇が、自らを包んでいた殻を破って生まれる。
若葉が開くように口を開け、
誰かのためにありたいと体で丸を描く。
その蛇の名前は アド(ADV / Adventure)。
彼は誰かを倒すためでも、世界を救うためでもなく、
ただ一つ、「自分は何者なのか」を知りたかった。
しかし、その蛇は少し変わっていた。
彼はただの蛇ではなくあなたの心の中にひっそりと棲みつく、
もう一人のあなた自身。
「誰かを導ける存在になりたい」
だから彼の旅は、世界を巡る旅であると同時に、
あなたの心の奥へ潜る旅でもあった。
第一章:オートファジー(Autophagy)
旅に出たアドは、最初に自分自身へ興味を持つ。
「私は何でできているのだろう」
彼は自らの尻尾を咥えた。円になった蛇。
始まりと終わりを繋げようとする蛇。
その姿を人々はイートミー(Eat Me)と呼ぶ。
彼は自分を理解しようとして、自分自身を飲み込もうとする。
しかしどれだけ食べても、
自分を完全に知ることはできなかった。
そこで彼は気づく。
自分を知るには、自分の外を知らなければならない。
第二章:捕食(predator)
蛇はあなたの居る世界へ向かう。
好奇心の強い蛇はあなたの体に出たり入ったり。
あなたの心の中で鳥を見れば鳥になりたくなる。
骸骨を見たら骸骨になりたくなった。
星を見れば星をあげたくなった。
彼はあらゆるものを咥え、あらゆるものを飲み込み、
あらゆるものを学ぼうとした。
その姿はハンティング(Hunting)と呼ばれた。
狩りとは支配ではない。理解である。
彼は食べることで、世界を自分の中へ迎え入れていた。
第三章:二元論(dualism)
やがて蛇は二つの人格に出会う。
鏡面の身体。笑う口。蛙のような顔。
太陽のような輝き。シャイン(Shine)
ワニのような顔。牙を剥く表情。影の鱗。
夜のような静寂。シャドウ(Shadow)
二匹は言う。
シャインは言う。世界は優しい。もっと輝け。
シャドウは言う。世界は残酷だ。もっと強くなれ。
蛇は悩む。
どちらが本当の自分なのか。
だが旅を続けるうちに気づく。
光だけでは目がくらむ。闇だけでは閉じてしまう。
どちらも自分なのだと。

第四章:脱皮(transformation)
悩む蛇は成長する。
植物が葉を落とすように。木が年輪を重ねるように。
何度も脱皮する。昨日の自分を脱ぎ捨てる。
自分を食べ、また自分を産む。いつか大輪の花を咲かせたいと。
全てを脱ぎ捨てていくと心に決めた。
仁慈な自分も残酷な自分も成長のためには飲み込む必要がある。
枯れても折れても、ただひたすらに新しい枝を伸ばす。
やがて脱ぎ捨てられた皮は大地に積み重なっていった。
これは失敗ではない。彼が歩いてきた証だった。
第五章:求められたその先
(Beyond the Role Given)
そんな彼を見ていた人々は、ある日唐突に彼を選ぶ。
「世界を楽しませる役」になってほしいと。
闇雲に暴れる蛇が選ばれた。期待された。崇められた。
もっと自分を表現したい。新しい自分を見つけたい。
蛇は、自らの姿を変幻自在に変える「擬態」をみせた。
ある時は蛇であることを忘れ、ヒラヒラと舞う「蝶」に。
ある時は世界の心理を見透かすような「眼」に。
ある時は自分を神と思わせる「天使と悪魔の翼」に、
そして愛情を示すような「ハートマーク」に。
もっと派手に。もっと刺激的に。もっと新しく。もっともっと。
だが人々は次第に飽きていく。
昨日の驚きは今日の普通になる。
そして気づけば、何も楽しくなくなっていた。
そのとき蛇は理解する。
自分は誰かの主役になりたかったわけでない。
第六章:削る(carving)
蛇は表現することを捨て始める。
蝶への憧れを捨てる。眼をとじる。
天使にはなれない。悪魔にもなれない。
光もいらない。闇もいらない。
そして最後にはただの蛇になった。
旅の始まりと同じ姿。アドの姿。
しかしそれは最初の蛇とは違っていた。
何も足されていないのに、
すべてを飲み込むことができる蛇だった。
人々は最初戸惑った。「何もないじゃないか」
だが見つめるほどに、それぞれが違うものを見る。
ある人には希望。ある人には孤独。
ある人には勇気。ある人には愛。
蛇は何も語らない。
だからこそ、見る人が自分自身を映し出す。

最終章:REVEAL
その瞬間。蛇の背から見ることのできない翼が現れる。
光と闇。善と悪。天と地。すべてを抱えた翼。
彼は空を飛ぶ。
月の光を浴び、太陽の熱を帯び、
深海の冷たさに癒やされ、宇宙を想う。
そして最後に辿り着く。自分の心の中の自分へ。
その姿はリビアル(REVEAL)と呼ばれた。
Revealとは、魅せることではない。
自分が抱えてきた欲から生まれた副産物を見せること。
脱ぎ捨ててきた皮はやがて革となり
誰かにとっての大切な名脇役になる。
彼が見つけた答えは、「私は何者か」ではなかった。
私は何者にもなれる。そして何者にもならなくていい。
彼はようやく理解する。
冒険の目的は、誰かのための私になることではなかった。
脱皮を繰り返しながら、
変わり続けられる自分を受け入れることだった。
そして彼は、面白いものを作る存在ではなく、
人の中に眠る面白さを目覚めさせる存在になった。
あなたもまた誰かの導き手。見る者の心の中で。永遠に。

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